朝霞パブリックゴルフ場閉鎖の理由とは?跡地の現在と再開の真相を検証
都心からわずか30分圏内、埼玉県朝霞市上内間木の荒川河川敷で半世紀近くにわたり親しまれてきた「朝霞パブリックゴルフ場」。リーズナブルなプレー料金とアクセスの良さ、手入れの行き届いたコースレイアウトから、ビギナーから上級シングルプレーヤー、シニア層まで幅広いゴルファーに愛され続けてきた名物コースでした。しかし、多くのファンに惜しまれつつその歴史に幕を下ろすこととなりました。
ネット上では「経営不振だったのか」「いつか別の場所で営業再開するのではないか」といった様々な憶測が飛び交っています。本稿では、営業終了に至った決定的な背景、国土交通省が主導する巨大国家プロジェクトとの密接な関係、そして2026年現在の跡地の様子まで、現地取材と公開データを基にその全貌を解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:朝霞パブリックゴルフ場の営業終了は経営難ではなく、国交省の大規模治水事業「荒川第二・第三調節池事業」に伴う公的な用地収用が直接の原因である。
- 要点2:2026年現在の跡地は国の重要治水インフラ整備の工事区域となっており、重機の稼働と掘削が進み、かつてのコース景観は完全に姿を消しつつある。
- 要点3:現地および近隣での営業再開の可能性は皆無であり、ファンは赤羽や戸田、ノーザン錦織など周辺の代替コースへのシフトを確立している。
【閉鎖理由の真相】朝霞パブリックゴルフ場が営業終了を迎えた決定的背景
多くのゴルファーが突然の報に驚いた朝霞パブリックゴルフ場の営業終了ですが、その引き金となったのは民間企業の経営判断や赤字ではありません。直接的かつ決定的な理由は、国土交通省関東地方整備局が進める「荒川第二・第三調節池事業」の本格着工に伴う敷地の明け渡しです。
埼玉県朝霞市上内間木の荒川河川敷は、首都圏を水害から守るための広大な遊水地指定エリアに含まれています。2019年(令和元年)10月の東日本台風(台風19号)では、既存の「荒川第一調節池」(彩湖)が過去最高となる約3,900万立方メートルの洪水を貯留し、下流の東京都心部の浸水壊滅を防いだ実績がありました。しかし、気候変動に伴う降雨量の激甚化を背景に、現行の治水キャパシティでは極限豪雨に耐えきれないとの危機感が国交省水管理・国土保全局で強まった経緯があります。
これを受けて策定された国家プロジェクトが、荒川第一調節池の上流部にあたるさいたま市、川越市、朝霞市、志木市などに跨る広大な河川敷を掘り下げ、総貯水容量約5,100万立方メートルを誇る新たな巨大調節池を造り出す計画でした。朝霞パブリックゴルフ場の敷地全体が、まさにこの第二・第三調節池の掘削・堤防構築エリアの中心部に直撃したため、河川敷の占用許可取り消しおよび用地買収という公的な強制力を伴う形で営業終了を余儀なくされたのが真実です。

【2026年現在の跡地レポート】埼玉県朝霞市上内間木の現場で進む巨大工事
かつて緑鮮やかなベント芝が広がり、多くのゴルファーで賑わっていた埼玉県朝霞市上内間木の現地は、2026年現在、完全に様相を一変させています。現地を訪れると、入り口周辺には強固な工事用フェンスが張り巡らされ、「荒川第二・第三調節池整備事業」の大型看板が整然と立ち並んでいます。
クラブハウスや練習場設備は解体・撤去が完了しており、かつてのアプローチ練習場やショートコースがあった場所には大型ダンプカーや油圧ショベルなどの重機が絶え間なく行き交っています。フェアウェイやグリーンがあった低地部分では大規模な掘削工事が進められており、広大な土工現場と周囲を囲む新設の囲繞堤(いぎょうてい)の基礎が姿を現しています。
地元住民や土手沿いを走るサイクリストの間でも、「数年前まで響いていた軽快な打球音が嘘のように消え、首都水没を防ぐための巨大ダムのような光景へと変貌した」と語られており、スポーツ施設から国民の生命・財産を守る防災拠点へと明確な役割の転換が果たされている現場を目の当たりにできます。
【データ比較】失われた名門パブリックの価値と首都圏河川敷ゴルフ場の現状
朝霞パブリックゴルフ場がゴルファーに重宝されていた理由は、圧倒的な立地の良さと抜群のコストパフォーマンスにありました。首都圏の主要な荒川河川敷ゴルフ場との比較データを整理すると、同コースが担っていた役割の大きさが明確に浮き彫りになります。
| 施設名・項目 | 旧・朝霞パブリックゴルフ場 | 赤羽ゴルフ倶楽部(東京都) | ノーザンCC錦織コース(埼玉) |
|---|---|---|---|
| 都心からの距離・アクセス | 朝霞台駅・志木駅から車で約10〜15分(池袋から30分圏内) | JR浮間舟渡駅から徒歩約7分(都内屈指の駅近) | 指扇駅・大宮駅からクラブバス(車で約40分) |
| コース規模・設備 | 本コース18H+ショートコース併設、練習場完備 | 本コース18H(イン・アウトの戦略的林間風リンクス) | 18H(フラットながら池やクリークが効いた設計) |
| 平日プレー平均相場 | 約6,500円〜8,500円(極めて良心的) | 約11,000円〜14,000円(都内立地価格) | 約7,500円〜9,500円(標準的パブリック価格) |
| 治水事業による影響度 | 全面収用・閉鎖(工事進行中) | 対象外(第一調節池下流のため存続) | 隣接区域での工事影響を注視しつつ通常営業 |
データを見ても明らかな通り、平日にアンダー1万円で本格的な18ホールを回れ、かつ都心からの所要時間が30分程度という好条件のゴルフ場は、現在の首都圏では極めて希少な存在でした。閉鎖によって生まれた受け皿の消失は、首都圏のアマチュアゴルファーにとって小さくない打撃となっています。

【実態検証】利用者の生の声と「朝パブ」がこれほど愛された理由
朝霞パブリックゴルフ場は、愛好家の間では親しみを込めて「朝パブ」と呼ばれていました。SNSやゴルフコミュニティ、口コミサイトに寄せられていた当時のリアルな声を検証すると、単に「安くて近い」だけではない独自の魅力が浮かび上がってきます。
「朝霞パブリックのコースレイアウトはフラットだが、河川敷特有の川風と要所に配置されたバンカー、砲台グリーンが絶妙で、アイアンの正確性を磨くには最高の道場だった」という競技志向ゴルファーの回想は少なくありません。河川敷と侮るなかれ、強風時には風の計算と低い弾道が要求され、スコアメイクに確かな技術が求められる実力派コースでした。
また、「車を持たない若手時代、電車とクラブバスで気軽に通えてコースデビューを飾った思い出の地」「年金暮らしの仲間と健康維持のために毎週手引きカートで歩いて回っていた」といった声も目立ちます。敷居の高い名門メンバーシップコースとは対照的に、あらゆる市民にゴルフの門戸を開いていたパブリックスペースとしての精神が、多くの支持を集めた最大の理由でした。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|「移転して再開」の噂は本当か?
ネット上の掲示板やSNSでは、閉鎖から時間が経った現在でも「工事完了後にゴルフ場として再開されるのではないか」「近隣の遊休地にコースを移設して営業再開を準備中らしい」といった噂が散見されます。しかし、これらの言説は都市計画および河川行政の実態を無視した誤解です。
第一に、荒川第二・第三調節池は完成後、数十年に一度の大洪水を一時的に引き込んで貯留する「遊水地」となります。洪水時には数百万〜数千万トンの泥水が流入するため、芝生やバンカー、クラブハウスなどの施設を常設することは構造上不可能です。第一調節池のように一部が公園や野球場として開放される可能性は将来的に残されていますが、高度な芝管理と莫大な維持費を要するゴルフ場の再整備は国の認可基準から完全に外れます。
第二に、首都圏近郊で18ホールのゴルフ場を新設するには最低でも50〜100ヘクタール以上のまとまった平坦地が必要ですが、地価の高騰と乱開発を規制する市街化調整区域の法令上、埼玉県南部において同規模の用地を民間が再確保することは経済的・法的に不可能です。「朝霞パブリックゴルフ場の再開」は事実無根の希望的観測であり、歴史の1ページとして完結したと捉えるのが現実的な見識です。

【プロの結論】朝霞ロスを乗り越える「代替コース」の選び方と判断基準
朝霞パブリックゴルフ場の閉鎖によりプレー拠点を失ったゴルファーは、自身のプレースタイルや移動手段に合わせて近隣の荒川沿岸コースを賢く使い分ける必要があります。編集部が推奨する判断基準は以下の通りです。
代替コースをおすすめできる人の条件
- 電車・徒歩アクセスを最重要視する人:JR埼京線「浮間舟渡駅」から徒歩圏内の「赤羽ゴルフ倶楽部」一択です。朝霞同様に都心から車なしで直行でき、伝統のリンクスレイアウトを堪能できます。
- リーズナブルな平日練習ラウンドを求める人:埼玉県戸田市の「戸田パブリックゴルフコース」(9H)や、さいたま市西区の「ノーザンカントリークラブ錦織コース」が適しています。朝霞に近いアットホームな雰囲気と手頃な価格帯が維持されています。
- 広大なホールと戦略性を楽しみたい人:船で荒川を渡る名物アプローチで知られる「川越グリーンクロス」や、大収容力を誇る「大宮国際カントリークラブ」が有力な受け皿となります。
慎重に検討すべき人(おすすめできないケース)
「以前の朝霞パブリックのように、都心至近・アンダー1万円・18ホールスループレー・予約の取りやすさ」という条件をすべて同時に求めることは、現在の首都圏ゴルフ市場では極めて困難です。この条件に固執しすぎると、予約合戦に疲弊したり、価格帯のギャップに不満を抱く原因となります。現在では「平日のショートコース併用」や「少し足を伸ばした関越道・圏央道沿いの丘陵コースへのシフト」など、プレースタイル自体の見直しを行うことが最も合理的なアプローチです。
【朝霞 パブリック ゴルフ 場】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:朝霞パブリックゴルフ場は具体的にいつ営業を終了したのですか?
A1:2023年12月31日をもってすべての営業を正式に終了しました。年末の最終営業日には、かつての常連や所属プロ、地元住民が多数詰めかけ、長年の歴史に別れを告げました。
Q2:跡地は今後どのような施設に生まれ変わる予定ですか?
A2:国土交通省が管轄する「荒川第二・第三調節池」の治水池本体となります。大規模洪水時に荒川の本流から水を引き込んで一時貯留し、下流の東京都心部や埼玉南部の浸水を防ぐ重要インフラとして整備が進められています。
Q3:朝霞パブリックゴルフ場が別の場所へ移転して復活する予定はありますか?
A3:移転・再開の予定は一切ありません。運営企業側からも移転計画は発表されておらず、首都圏近郊の用地確保や採算性の観点からも、同名での復活は事実上不可能です。
Q4:朝霞パブリックで使っていた会員権やポイントカードはどうなりましたか?
A4:閉鎖に先立ち、公式アナウンスを通じてポイントの利用促進や各種会員サービスの清算・終了手続きが実施されました。営業終了に伴い、すべての会員制度および付帯サービスは完全に失効しています。
まとめ:荒川の安全を守る治水インフラへの転換とゴルファーへの教訓
朝霞パブリックゴルフ場の営業終了は、ひとつの名門大衆コースの消滅にとどまらず、気候変動下における「河川敷の利用形態の優先順位」を象徴する出来事でした。長年にわたって数多のゴルファーの腕を磨き、笑顔を生み出してきた緑地は、今や数百万人の命と都市機能を未曾有の豪雨災害から守るための強固な治水インフラへとその役目を変えています。
多くの思い出が詰まったホームコースの消失は惜しまれますが、その記憶は記録として残り続けます。かつて「朝パブ」でゴルフの楽しさを知ったゴルファーは、赤羽や戸田、錦織といった近隣の荒川河川敷コースへと足を運び、それぞれのゴルフライフを前進させていくことが、何よりの継承となるでしょう。 (出典: 朝霞 パブリック ゴルフ 場(Yahoo!ニュース))